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エマージングウイルス

2003年、中国で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は、世界を震撼させました。
その時の致死率は、9.6%です。
SARSの原因となるウイルスは、新型のコロナウイルスとわかりました。

ワクチン接種や抗生物質投与などによる感染症の対策が進み、1980年、WHO(世界保健機関)は天然痘の根絶宣言を行いました。
その他の感染症も、ワクチン接種などによって、根絶されていくだろうと思われていました。
しかし、翌年の1981年にエイズが発生し、その後も次々と新しい感染症が現れてきました。

これまでに確認されていなかった感染症で、局地的あるいは国際的に大きな問題となる感染症を進行感染症(エマージングディジーズ・エマージング感染症)と言い、この感染症の原因となるウイルスがエマージングウイルスです。
エマージングウイルスは、上で述べたSARSの原因ウイルスであるSARSコロナウイルスの他、エイズのウイルスであるHIV、高病原性トリインフルエンザのトリインフルエンザウイルスなどがあります。
肝炎のウイルスであるC型肝炎ウイルスもエマージングウイルスであり、C型肝炎は肝硬変や肝臓がんへ移行する危険性のある病気として、社会的に問題となっています。

エマージングウイルスは野生動物を宿主とするウイルスで、野生動物に感染しても、病状はないか、軽い症状で収まっています。
しかし、それが人間に感染することによって健康に大きな被害を与える感染症を引き起こしているのです。
進行感染症が、次々と起こる背景には、森林破壊や世界人口の増加、野生動物の輸入・飼育などによって人間と野生動物との距離が近くなったことが一因とも言われています。
環境破壊による影響は、このような未知のウイルスによる病気の発生・拡大という状況も作り出しているのです。

進行感染症の対策としては、エイズの場合、性教育などによる予防対策が重要となります。
新型インフルエンザなど今後起こる可能性のある病気に対して、世界全体での監視体制も必要とされています。

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