新型インフルエンザは世界的なパンデミック(大流行)が危惧されている病気です。
過去に起こったインフルエンザ・パンデミックには、スペイン風邪と呼ばれた1918〜1919年のスペインインフルエンザのパンデミックがありました。
この時には、まだ抗生物質もワクチンもないために流行を防ぐ手段がなく、世界保健機関(WHO)によると患者数は世界人口の25〜30%で、世界で約4,000万人が亡くなりました。
日本の内務省統計の報告では、この時の患者数は約2300万、死亡者約38万人でした。
新型インフルエンザによる、パンデミックが起こった場合、スペイン風邪の流行時よりも飛行機などによって人口移動が大きくなっていることから、さらに大きな被害が起こる可能性があります。
インフルエンザの対策には、抗インフルエンザウイルス剤やワクチンがあります。
しかし、タミフルに耐性のあるウイルスも出現するなど、抗インフルエンザウイルス剤は万能ではありません。
さらに、インフルエンザのウイルスも毎年変異を繰り返すため、ワクチンも流行を予想したものを接種しており、予想がはずれて効果のない場合もある欠点があります。
平成21年1月、国立感染症研究所・北海道大学・埼玉医科大学・化学メーカーの日油による厚生労働省研究班が、どんなインフルエンザにも効果がある万能インフルエンザワクチンを開発したと発表しました。
インフルエンザウイルスの内部にあるタンパク質は変異しにくいことに注目して開発されました。
現在はマウスでの実験結果であり、人に使用した場合の副作用の確認が必要です。
新型インフルエンザへの対策として、できるだけ早い実用化が望まれています。
新しい病気への対策として、このように新たな研究が次々と行われています。
日本のB型肝炎とC型肝炎の患者数は合わせて約300万人で、日本最大の感染症となっています。
そのため、日本ではウイルス性肝炎への対策に取り組んでいます。
2008年から、その対策の1つとしてB型肝炎とC型肝炎のインターフェロン治療への医療費助成が開始されています。
そして、インターフェロン治療への医療費助成を柱として、肝炎ウイルス検査の促進、肝炎に対する正しい知識の普及、研究推進、健康管理、肝硬変・肝臓がん患者への適切な対応など、この病気への新たな総合的な対策が実施されています。
肝炎の治療には、インターフェロンやウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を投与する抗ウイルス療法と、抗ウイルス療法で効果が得られない場合に行う肝庇護療法があります。
インターフェロンによって、B型肝炎は約3割、C型肝炎の場合は約5〜9割の人が、根治が可能です。
インターフェロンは副作用が強い薬であるために医者との充分な相談が必要です。
インターフェロンとは、ウイルスや細菌に感染した時に、体の細胞が作り出すタンパク質の一種です。
B型肝炎とC型肝炎の治療だけでなく、がん治療などの病気にも用いられます。
しかし、インターフェロンでの治療は高額のため、その治療を行う人が多くはありませんでした。
そこで、早期治療を促し、肝硬変や肝臓がんに進行させないための対策の1つとして、インターフェロン治療への医療費助成が決定されたのです。
インターフェロン治療の医療費助成額は、世帯所得によって自己負担限度額は1ヶ月につき1万〜5万円です。
病気に万が一かかっても、このような助成などを活用し、病気の早期治療によって大切な命を守ってください。
2009年1月、厚生労働省の発表によると、11都道府県で採取されたAソ連型のインフルエンザウイルスは、97%が抗インフルエンザ薬のタミフルに耐性があるウイルスでした。
2007年11月ごろから、北欧諸国を中心に世界各国でAソ連型のタミフル耐性ウイルスが現れています。
これらのウイルスはタミフルには耐性があるものの、リレンザには有効です。
また、ワクチン接種による効果はあるので、耐性のウイルス出現の対策としてワクチン接種が有効です。
耐性のウイルスの大半は、タミフルを使用していない地域で発生しているため、タミフルの使用によって耐性ができた訳ではありません。
また、中国で流行しているインフルエンザウイルスは、抗インフルエンザウイルス薬であるアマンタジン(商品名:シンメトレル)には耐性がありますが、タミフルは有効です。
2007年には、日本ではタミフル耐性ウイルスの出現率は低かったものの、2008/2009年のシーズンでは、上記のように日本でもタミフル耐性ウイルスが多く全国的に出現しているのです。
A香港型へのタミフル使用は有効なので、単にA型インフルエンザというだけではタミフルに耐性があるのかどうかはわかりません。
ワクチン接種では、Aソ連型・A香港型どちらにも効果があるために、インフルエンザにかからないようにするためにもワクチン接種は推奨されているのです。
そして、インフルエンザだけでなく病気にかからないための対策として、うがい・手洗いはかかせません。
ウイルスや細菌による病気の治療薬に耐性ができて効果がない場合が起こりうることを知っておいてください。
予防接種は様々な病気にかかることを防止する役割があり、さらに多くの人が接種することで病気の蔓延への対策となります。
予防接種とは、病気の原因となるウイルスや細菌の毒素を弱めたワクチンの接種で、接種によって病気に対する免疫を作ります。
予防接種には、予防接種法や結核予防法により、接種を行う決められた期間(年齢)のある定期接種と、希望者が受ける任意接種があります。
定期接種の対象は、ポリオ、65歳以上の人のインフルエンザワクチン接種、DPT3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)、麻疹(はしか)、風疹、日本脳炎、BCG、B型肝炎(母子感染の対策のもの)があります。
2006年より、麻疹と風疹は混合されたMRの接種になっています。
定期接種のインフルエンザは65歳以上の人の他、60〜64歳の心臓、腎臓、呼吸器、もしくはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害のある人が対象となっています。
日本脳炎ワクチン接種は、現在、副作用の問題で接種を差し控える勧告が出されています。
任意接種の対象は、おたふくかぜ、水ぼうそう、定期接種以外のインフルエンザ、定期接種以外のB型肝炎、肺炎球菌などがあります。
また、海外へ行く際に受ける任意接種には、A型肝炎、ペスト、コレラ、黄熱、狂犬病などがあります。
海外での病気の対策として、滞在地の状況に合わせた予防接種が必要です。
風疹のウイルスに抗体のない女性は妊娠前の風疹の予防接種により、妊娠中に風疹にかかって胎児に障害が起こる危険性を防ぐことができます。
予防接種は、病気にかかる本人だけでなく、これから生まれてくる胎児や、お母さんからもらった免疫が切れる赤ちゃんを守る、重要な対策なのです。
ノロウイルスは、感染性胃腸炎の原因となるウイルスの1つです。
感染性胃腸炎の原因には、ノロウイルスの他、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体があります。
感染性胃腸炎の原因となるウイルスには、ロタウイルス、腸管アデノウイルス、ノロウイルスなどがあります。
ノロウイルスによる食中毒は、年間を通して起こりますが、特に秋から年末が発生のピークとなります。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、経口感染によって広がります。
症状は、嘔吐、下痢、腹痛などで、おおむね軽症ですが、幼児や高齢者は重症になる場合があるので注意が必要です。
症状は1〜2日です。
このウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、脱水症状を抑え、体力を消耗しないよう対処療法が取られます。
感染の原因には、感染した人が調理したものを食べて感染する、ノロウイルスに汚染されたカキなど2枚貝を食べる、感染者の吐しゃ物や便を処理した時、人の多い場所での飛沫感染などがあります。
食品にウイルスが含まれている場合でも、ノロウイルスは熱に弱いので、中心温度85度で1分、しっかり熱を通すことで感染を防止できます。
調理用具や手指から感染がないように、しっかりと消毒することも大切です。
エタノールでの消毒はノロウイルスには効果がないので、調理用具も熱湯での消毒をしてください。
ノロウイルスに感染しても症状が出ない場合もありますが、症状がなくてもウイルスの排出はあります。
ウイルスの排出は長いと1ヶ月続きます。
ノロウイルス感染への対策は、感染しないための対策と同時に、自身がウイルスに感染している可能性を考えて、普段から衛生に気をつける必要があります。
ウイルスが原因の病気はノロウイルスの他に多くの病気があります。
感染しないためにも、ウイルスに対する知識を持ち、対処をこころがけてください。